日本人とひのきの歴史
History of Japanese with Hinoki
日本人と歴史を共に歩んできた『ひのき』は
日本人にとって相性のよい木です
ひのきは、日本と台湾の一部に生息する日本固有の木です。
そのため、日本人にとってはとても相性のよい木と言えます。
奈良時代に成立した日本の歴史書『日本書紀』の神代の巻には、スサノオノミコトのお話があり、そこにはひのきに関するとても面白い記述があります。
(スサノオノミコトは、日本神話でヤマタノオロチを退治した神様として有名ですね。)
スサノオノミコトが髭を抜くとそれは、杉になって、胸毛を抜くとひのきになって、お尻の毛を抜くとマキになって、眉毛を抜くとクスノキになったとあります。
そして、スサノオノミコトは、スギとクスノキは船を作るのに使いなさい。ひのきは宮殿を作るのに使いなさい。マキは棺桶を作るのに使いなさい。と指導したそうです。
スサノオノミコトの胸毛がひのきになったなんて、なんとも面白いですね(なんとなくお尻の毛じゃなくてよかった…^^;)。
しかも、宮殿にひのきを使えということは、やはり高級建材として、とても古い時代から扱われていたと推測されます。
事実、日本では、ひのきは古くから法隆寺や伊勢神宮をはじめとした神社仏閣などで、神聖な木として使われてきました。
伊勢神宮では現在も遷宮(伊勢神宮の20年に一度の建て替え)のための建材として使われています。
また法隆寺は世界最古の木造建築です。
飛鳥時代から現代に至るまで、しっかり残っているひのきの一枚扉もあるそうです。
法隆寺がその佇まいを保ってきた理由は、ひのきを使っているからかもしれませんね。
その他「檜舞台」と言われるように、能など特別な演舞をする舞台の床材にも古くから活用されてきました。
もちろん、現代でもひのきは神社や仏閣や住宅を建てるための木材として使われています。
お寺では主に床材として使われ、住宅では柱材として馴染みの深い木です。
昔から日本人の生活に密着しているひのきは無塗装でも使うことができる、人に優しい木です。
日本人にとって最も相性のいい木と言えるかもしれませんね。
ひのきがこれほどの昔から日本人の生活に密着してきた理由がもうひとつあります。
それは、ひのきはしなりがあり、折れにくく、何百年と長持ちする強い木であるということです。
地震などの際は適度に揺れ、折れることなく倒壊を防ぐと言われています。
ひのきは切ってから200年まで強くなり続けると言われています。
200年後からはゆっくりと強度が弱まっていきますが、1000年程経ってようやく切った当時の強さに戻ると言われています。
いっけん、鉄やコンクリートの方が耐久性がありそうですが、実はひのきほどの耐久性はありません。
鉄やコンクリートの耐久性はせいぜい100年と言われています。
さらに、ひのきは乾燥性が良く、狂いが少ないため、建築材にとても適しています。
材質は柔らかく軽いものの、強度と耐久性が高い優良材のため、建物の基礎となる柱や土台に使われます。
高級建材のひのきを住宅の柱に使っていると「すごい家!」と昔の人は思ったそうです。
スギやエゾマツ、ヒバより ヒノキはハイレベルな木材として貴重に扱われてきました。
近年、日本のひのきは里山保全のために、計画をたてて育てられています。
伐採も計画的に行われているため森林保護、環境保護の面でも安心して利用できる木です。
木は二度生きると言われています。
一度目は、樹木のひのきとして生を受けた時。
二度目は、伐採された後、建材や家具として生を受けた時です。
二度目の生で建物や家具として、再び何百年もの間、生き続けるのです。
ぜひ、いつもそばにいる存在として、ひのき家具を選んでいただけたらと思います。